2019年訪日外国人観光客消費動向調査【超速報分析】

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2020年 1月 29日 (水) インバウンド, ニュース＆プレスリリース, 調査報告 by nobu

毎年恒例の訪日外国人消費動向調査を分析してみた

昨年2019年はラグビーワールドカップがあった影響でその期間の訪日外国人のアンケート結果が例年の傾向と違う可能性があるので、昨年までのデータとの比較のためにワールドカップの時期を外した1月~9月の数字で、昨年までの傾向との比較を見ることとした。

「一番満足した日本食」のランキング

先ず、常に意識しているのが何といっても「一番満足した日本食」のランキングである。
元来、日本食の代名詞は「寿司」であった。
日本に来て一番満足した日本食も「寿司」が王道だったのだが、その座を奪ったのが「ラーメン」であった。そして2018年にラーメンの座を首位から奪ったのが「肉料理」であった。
ステーキや焼肉・しゃぶしゃぶをトータルして「肉料理」としているのだが、何故ラーメンを抜いて肉料理が首位になったのか？は、訪日観光客の内訳の影響を大きく受けているのは間違いない。

注目！各国別　一番満足した日本食ランキングの推移

満足した日本食の国別の推移を見てみると、非常に面白い傾向がある。

先ず人口に占める日本への渡航客の割合が世界一高い香港。国民の3分の１が年に1回日本に来るという計算にまでなる親日ぶりなのだが、香港人の満足した日本食は、調査開始以来一貫して「肉料理」である。「肉料理」大好き比率が2018年から一気に上昇しているのが特徴的だ。
そして、国民に対する訪日比率が世界第2位の隣国韓国勢の選ぶ日本食も一貫性があり、常に「肉料理」である。

訪日外国人観光客で最も多いウェイトを占めるが中国人であるが、中国人の選ぶ日本食には変化がある。
2015年には、1位魚料理（刺身等）2位ラーメン
2016年も、1位魚料理、2位ラーメン
2017年でも1位魚料理、2位ラーメン、僅差の3位に肉料理
2018年には一気に、1位肉料理、2位ラーメン、魚料理は少し差を開けられた3位に陥落
2019年は、ぶっちぎり1位肉料理、2位ラーメン、3位魚料理
と変化している。

ところで、訪日外国人観光客の数では近隣諸国が圧倒的に多いのだが、日本滞在中に落とす金額の大きさでは欧米勢が群を抜く。
その欧米勢の満足した日本食の変化にも一定の特徴がある。
それは、「寿司→ラーメン」という流れである。
日本食イコール寿司というほどに寿司は世界中にその名をとどろかせている。ＵＫ（英国）発祥の寿司チェーンが欧州～中東で100店舗以上のチェーン化を実現している等、すっかり日本食から国際食へと変化しつつある。
2016年までは欧州勢の1位は全て「寿司」であったのだが、2017年以降動きが出てきた。
先ず2017年にスペインとＵＫでラーメンが1位に躍り出て、2019年にはドイツ、イタリアもラーメンが1位に躍り出てきている。
これは偏に現地でのラーメンブームが影響していると思われる。

欧米の日本食の紹介記事には時折、「ラーメンは、あのボウルの中で日本の食文化全てを表現している」とか「いっぱいの丼でフルコース（前菜、スープ、メインの肉、炭水化物）を提供している」などと日本人が普通にラーメンに抱く印象とはかけ離れた「高尚な」表現をしてくれているケースがあるのだ。

日本を深く知れば知るほどに、ラーメンに興味を抱き、日本に来た際に、様々なラーメン店を訪れした満足している様子が目に浮かぶ。

そして、これらの変化は、日本食の海外展開の可能性にも影響することも大きな事実である。

総じて、この「満足した日本食」のランキングは、それぞれの国の中における日本食の人気に相関している。

このデータは、インバウンド対応にも活かしていただきたいが、海外展開戦略にも活かしていただきたい内容だ。

【参考：過去の訪日外国人観光客消費動向に関する分析レポート】

外国人観光客が外食に使うお金４３５０億円！（2015年10月15日投稿）

外食産業はこの重要性にまだ気付いていない（2016年3月7日投稿）

外国人観光客の満足№1日本食が、ラーメン！（2016年4月7日投稿）

訪日観光客の情報源は「ブログ」の大嘘！（2016年8月17日投稿）

訪日外国人２４００万人の消費実態から見えてくる可能性（2017年2月1日投稿）

超速報！観光庁よりも早い 訪日外国人消費動向調査報告（2017年2月5日投稿）