超速報!観光庁よりも早い 訪日外国人消費動向調査報告
Tweet Check2017年 2月 5日 (日) インバウンド, ニュース&プレスリリース by nobu
超速報!観光庁よりも早い 訪日外国人消費動向調査報告
トピック
ラーメン1位は変わらず
どこまで伸びるか日本大好き!状態
香港人の4人に一人は「毎年日本へ」の状態
地方のインバウンド景気はまだまだこれから
(99%の外国人観光客が行かない都道府県。福井県は1000人に1名も訪問しない)
観光庁が毎年実施している訪日外国人消費動向調査の2016年の結果が速報ベースで出そろいました。
四半期毎に情報開示しており、2016年の年間確定報告は4月初旬になる予定ですが、四半期報告を4回重ね合わせると、ほぼほぼ年間結果に近い姿が見えて参ります。
このレポートは、少々強引ですが、四半期報告の数値を合計したり平均化したりし、年間の姿を見通したものです。4月に確報が出ましたらその段階で微修正いたしますが、取り急ぎ報告します。
先ず、外食産業にとって、嬉しいこととして認識すべきことは、
「訪日前に、一番期待していたこと」についての回答で、自然・景勝地観光やショッピングを差し置いて「日本食を食べること」が今年も第1位であるという事実です。
昨年も同様の結果でしたが、訪日客の23%の方が、「日本食を食べること」を訪日前から一番期待していたことだと回答しています。第2位の自然・景勝地観光が18.4%なので大差での1位です。
皆さんが他国へ旅行するときに、一番期待することを「食事」とする国があるでしょうか?
私の場合は思い当たりません。それくらい凄いことだと思います。
そして特筆すべきは、欧米諸国からの評価の高さです。
アジアの国々には、中国、台湾、タイなどは食事よりも観光やショッピングを上位に回答しているケースが散見されますが、欧米諸国は全ての国で「日本食を食べること」を第一位として回答し、かつ回答者比率もイタリアの32%を筆頭に3割前後の支持を得ています。
この事実を誰に感謝してよいのか分かりませんが、欧米観光客の3人に一人は日本に、日本食を食べに来るのを第一義の目的にしてくれているのです。
そして、この日本での飲食で「もっとも満足したもの」第1位は今年もラーメン(21.3%)でした。
参考までに一年前の調査では、ラーメンの回答が19%で僅差での1位でしたが、今年は2位の肉料理とは僅差ですが3位の寿司を大きく引き離しての堂々の1位ということになります。
さて、この状況を飲食業の皆さんはチャンスとして捉えているでしょうか?
百貨店やドラッグストア等小売業の世界では、「爆買い」に代表されるように訪日外国人への商品販売にかなり力を入れてきました。外国人が買い物しやすいように売り場を改装し、外国語を話せる販売員を増やしたり、免税店を街中に作ったりと、業界あげてインバウンド対応に必死でした。
しかし「爆買い」は、長く続きませんでした。考えればモノの購入は、一度買ってしまえば、次の購入まで期間があくのは当然のことです。しかし外食は違います。
通常、人は一日に2回3回食事をします。
旅行時においては、自炊はほぼ不可能ですので、弁当を買うか、飲食店を利用するかの二者択一です。
昨年日本に来た2400万人の訪日外国人は買い物をしなかった方も、食事は100%しています。
それだけのマーケットがあります。
しかも結構なお金を落としています。
「訪日外国人消費動向調査」では、実際の消費金額を細かくリサーチしています。
少々強引ですだが、国別の外食消費金額を、国別の平均宿泊数で割ったのがこの数値です。およそ一日当りの外食費と捉えられても問題ないと思います。
日本人が普通に生活して、一日に3000円4000円の外食消費を毎日するでしょうか?香港人に至っては一日平均5800円です。
この市場を真剣に取りに行かずにどうするのでしょう?
如何にして訪日外国人に、自店に来てもらうのか?
では、訪日外国人にどのようにアプローチすれば良いのか?
これは、まだまだ「これだ!」という手法は確立していないように思えます。
言えることは、「外国人に人気な店は、多少場所が悪くても長期的に人気店で居続ける」ということです。
幾つかの情報源によって、評価され、その評価が長期にわたり継続し、外国人の利用が続くという傾向が見て取れます。
そして問題の「情報源」ですが、国によって傾向が如実に変わります。
訪日外国人観光客の全体で一番利用されている情報源は、「個人のブログ」となるのですが、個人ブログを情報源として使っている国は、韓国、台湾、マレーシアであり、国によって傾向が完全に分かれます。
トリップアドバイザー等口コミサイトの利用は、英国・米国・豪州等欧米白人系社会に偏っています。
下の表は欧州5ヶ国の訪日前に役に立った情報源の上段が2016年、下段が2015年の調査結果です。上位10位までのみ抽出しています。
国による傾向が非常に表れています。
ドイツ、フランス、イタリアは、2015年において第1位は「旅行ガイドブック」でした。
2016年はフランスのみ「旅行ガイドブック」が僅差で第2位に転落していますが、ドイツとイタリアでは堂々の1位です。
「紙媒体」への信奉度合の表れだと思います。
そして、個人ブログへの評価は一定にある一方、SNSに対してはフランスのみ2016年にランクインしましたが、それ以外の国ではランクインしていません。
動画サイトのランクインが目立つのも特徴です。
続いて、北米・豪州です。
(上段2016年、下段2015年)
こちらは2015年2016年続いて第1位は、トリップアドバイザーです。
そして2016年にはそろって動画サイトも10位以内にランクインしてきました。しかし旅行前の情報源としてはSNSの評価はまだまだ内容です。
私たちはとかく「欧米」として一緒に考えてしまいがちですが、これを見るだけでも欧州と北米・豪州では、国の歴史も、国民性も、信じる情報源も大きく違うことがよくわかります。
(出発前の旅行情報源で役に立ったもの 上段2016年、下段2015年)
続いて東アジア4か国です。
(上段2016年、下段2015年)
こちらは、「個人ブログ」への依存度が非常に高いことが分かります。これらの国々の方の訪日数が全体に大きなウェイトを占めますので、全体のランキングでも「個人ブログ」が上位になるのです。そして台湾以外でSNSへの評価も2015年→2016年で大きく変化しています。
スマホの普及でこのあたりの普及と利用、そして信頼の状態が激変していることが伺えます。
さて、皆さんが来てほしいとターゲットとする国の方々が、来日前にどのような情報源を活用しているか?はこのアンケート結果から想像が出来ます。
ただこの結果はあくまで「来日前の情報源」ですので、来日したのちの情報源に関してではないのが気を付けるべき点です。
訪日外国人観光客でにぎわうFIRE RAMENさんの話では、「来日前に行くことを決めている」ケースと、旅先で知り合った他の同胞外国人の推奨で来店するというケースが多いとのことですので、来日前の情報源に如何にタッチできるかが重要だと思われます。
どこまで伸びるか日本大好き!状態
またまた勝手な分析と推計をしているのが、「訪日率」。
このデータは、2016年に日本に入国した各国の国民の入国数(人数ではなく、1名が3回入国したら「3」とカウント)を2015年の人口で割ったもの。人口対比何パーセントの方が日本に来ているか?という数値を推計したものです。
昨年このデータを取って驚いたのが、香港の比率の高さ。昨年のグラフは次に掲載していますが、その比率は21.35%でした。
そして2016年は更に上昇して25.24%です。
私のFaceBookにて、この状態を報告しましたら、香港の友人は「まさに私もその一人!」とコメントしてきたほどです。日本大好きな国の方は一年に何度も日本に来てくれるハードリピーターになっています。
地方のインバウンド景気はまだまだこれから
下の表は、各国からの訪日観光客が、どの都道府県を訪れたか?のデータです。
千葉や大阪が多いのは成田空港、関西空港の影響が大きいとのことですが、上位15都道府県のみ示しました。皆さんの都道府県はランクインされているでしょうか?
実はこの数値は、都道府県の各国へのアプローチが大変大きな影響を及ぼします。
例えば和歌山県は、香港や中国で和歌山観光フェアを開催するなどして、確実に訪問率を上げています。皆さんの都道府県がもしまだまだの数値であるならば、是非都道府県の観光部にプッシュすることをおすすめします。
出典:観光庁、訪日外国人消費動向調査2016年 各四半期報告をもとに推計値で作成。例年年報(確報)は4月上旬に発行されます。
発行元:株式会社アセンティア・ホールディングス 東京事務所
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